枯葉剤今も影響を残す化学兵器。その散布の目的には何があった?
ベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響により戦後30年たった今も世代をまたぎ影響を与えているといわれています。
その枯葉剤とはどんなものか、また何のためにまかれたのか調べてみました。
枯葉剤とベトナム戦争
第2次世界大戦で日本の敗戦に伴いそれ以前に統治していたフランスがもう一度統治しようと進出してきてインドシナ戦争がおきます。
その後1954年にフランスが敗れ、その際に北緯17度を境界として南北に分断されます。
北側はソ連や中国が後ろ盾となるベトナム民主共和国(北ベトナム)。南側はアメリカが後ろ盾となる南ベトナムです。
しかし、南側のゴ・ディン・ジエム大統領の政策が汚職まみれで、国民の大多数を締める農民の支持を得られないものであったことから南ベトナム開放民族戦線が結成され内乱が勃発します。
ジェム大統領はそういったゲリラ鎮圧のために枯葉剤の使用を許可してしまうのです。
そういった中、ベトナム戦争が勃発(1962年)がしていきます。
よくベトナム戦争で使用されたとありますが、実際の使用開始はそれ以前からだったようですね。
枯葉剤とは
散布の目的は建前としては蚊などの害虫駆除でしたが、実際は南ベトナム開放民族戦線の隠れ蓑となっていた森を駆除する目的で使用された強力な農薬です。
その種類はいくつかあり、その容器につく縞の色(オレンジ・白・紫・ピンク・緑・青)で分けられていました。
調べてみたところ青はおもに食料を実らせない為のものですが、それ以外は同じようなものでした。
影響
撒かれた場所は24時間以内には葉が変色し、1か月ほどで落葉します。新芽が出てくるとそれを駆逐するために何度も繰り返しまかれることになるのです。
その散布方法は、C123という輸送機2機編隊でさんぷされ、その面積はなんと日本の四国ほどの広さにもなり、南ベトナムのジャングルの20%、マングローブ森の36%と言われています。
ダイオキシン
今でも問題になっているのは、枯葉剤に入っていたダイオキシンという物質です。
この毒性はサリンの2倍で青酸カリの1,000倍にもなります。
どういった影響を及ぼすかというと、新生児の奇形や免疫異常・発育異常があります。
その影響で奇形児の出生が使用前の12倍にも及んでいるという資料があります。
これが1世代だけですんだのではなく2世代目にも影響が及んでいることが確認されていて世界的に問題視されています。
ここで疑問に思ったのが化学兵器の使用ってだいぶ前から使用が制限されていたのではないか思ってたのですがその背景です。
化学兵器の使用と制限の歴史
これが戦争で強力な兵器として登場したのは第1次世界大戦からです。
その効果は吸入することにより呼吸困難に陥り苦しみながら死に至らしめ非人道的な兵器ということで「ジュネーブ議定書」により1925年に使用が禁止されます。
この時は開発・製造・保管については制限するものではなく、冷戦時には大量の化学兵器が眠っていたようです。
そこで、次に「化学兵器禁止条約」が1993年に署名され1997年に発行されます。
これにより開発・製造・保管も禁止され、これまで作成廃棄した化学物質も廃棄した国が費用を持ち処分しなければならなくなりました。
しかも、アメリカが先のジュネーブ議定書に批准したのは1970年ということなので、ベトナム戦争の時には国際法的には違反しているわけではなかったようです。
感想
以外に最近まで各国が持っていたというのが恐ろしいですね。
現在「化学兵器禁止条約」には190か国が批准しており、ほぼ使用されることはないのかなと思いますが、アフリカ大陸の数か国&北朝鮮が批准しておらず、最近のイスラム国関係で悪用されないかが心配です。
(画像引用:wiki)
また、この条約も国内の内乱の鎮圧目的での使用は合法的に使用ができるようなので、クーデターなどが起こったときなどは恐ろしいですね。
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